百姓のセンスなし?S・Kに新たに与えられた仕事

「さすがに言い方、きつ過ぎるよ。初めてなんだから出来なくて当然だろ」
 とうとう痺れを切らしたN・Hが暴走気味のスパルタ指導を施しているN・Mを止めに入る。
「君は不器用だなぁ。まあ、このままだとキリが無いから、ひとまず耕すのは止めてS・K君だけ別の作業をやって貰おう」
 その場に座り込んでしまったS・Kを尻目に、N・Mはキャラバンの荷台の中に入っていたシャベルを持って来るとS・Kの目の前で地面に突き刺した。
「S・K君は今日、コレを使ってあの木の横あたりに深さ3mぐらいの穴を掘ってくれ」
 豹変しすぎのN・Mを目の当たりにして、門下生達は引き気味で作業を続けていた。
「健二ー。頑張れよー」
 やや遠くから一旦手を止めてN・TがS・Kに檄を飛ばしている。S・Kは視線を合わせずに、無表情のまま拳をこちらに向けて突き出すと、N・Mの突き刺したシャベルを畑の中から力強く引っこ抜き、ゆっくりとだが力強い足取りで木の根元へと向かって行った。あの辺りは根が張っていて土が固いので掘るのは一苦労かもしれないが、例えいっときであってもN・Mの罵倒に耐え抜いた今の我慢強いS・Kなら何とかやってくれるかもしれないと私は密かに期待してしまう。